ガベージコレクションのアルゴリズムと実装 中村 成洋 相川 光 竹内 郁雄 秀和システム 2010-03-18 売り上げランキング : 116820 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
前半の著者がM2、監修が大学教授というだけあって、アカデミックな書き口で学生時代を思い出す。仕事で扱ってると、どうしても出典とか論文とかの優先度って低くなるから(入社当初は、社内WikiにAbst, Intro, MateMetho, Result, Discuss書いてた)。
GCがLISP以来の古い技術ということは知っていたし、JavaではコピーGCやMarkSweepCompactが行われているということも仕事柄押さえてはいたが、これらがこんなにも学究的に積み上げられ、改良されてきた技術だとは知らなかった。
今ある環境はまさしく巨人の肩の上にあるものだと実感したが、その割には、ソフトウェアで食っている人がこうした業績を知らないことって甚だしいよな、と思う(自分含め)。
アカデミックな語り口に対する拒否反応的なものもあるのかもしれないが、この世界の知見って論文検索サイトで文献を取り寄せたり図書館でコピーしたり、という手間をかけなくとも、有用な技術は皆が自分用に噛み砕いた概念を色んなところで紹介してくれるものだから、その必要を感じなくなっているのかもしれない。
それはある意味、実学として優れた立ち位置を獲得しているとも言えそうだ。いちいち論文を引かなくとも、あっという間に広まって皆が使える状態になるとか、なかなかそんな学問ない(気がする)。
というか、この分野は技術とも自然科学とも実学とも哲学とも宗教とも言語とも文学とも言えそうで、色んな要素を持っていてなかなかとらえどころが無い。
どう向き合うかは、その人がどう向き合いたいかによって規定されるような、面白い分野だよな、なんてGCとは全然関係ないところに話が着地しました。